書籍紹介「殺される患者、生かされる患者」 児玉知之 著 

殺される患者、生かされる患者
児玉知之 著 ISBN978-4-8470-6571-2

著者は現役の医師です。その医師から見て、せっかく優れた医療を受ける機会があるにもかかわらず、その活用法を知らないばかりにみすみすその機会を逃している患者さんがとても多いのです。逆に、機会を確実につかみ最大限のサービスを享受している患者さんもいます。

これが、本書のいささか刺激的なタイトルに使われている「殺される患者」と「生かされる患者」との決定的な違いです。その違いを紐解く鍵は「医療サービス業であって、サービス業ではない」という特殊な世界だということです。一般的に飲食や宿泊サービスであれば、支払った金銭に応じたサービスを受けられます。しかし、同じサービス業に分類されることもある医療には、それは当てはまりません。いくら高いお金を払っても最終的には患者さんの行動や態度によって引き出せるサービスの質が大きく変わってくるのです。

本書では、そんな医療の現場においてサービスを提供する側にいる著者が、経験上導き出した「こういうことをすると確実に損をする・得をする」というトピックを解説しています。また、より理解度を高めるために患者さんと医師とのやり取りを随所に入れつつ「実は医師はこのように考えている」という医師の知られざる本音も書かれています。「生かされる患者」になるために留意するべきことは、医療サービスに対して決して受け身にならず、膨大な選択肢の中から個々のサービス(医師、医療機関、治療法、薬剤など)の特性を理解するように努め、それを能動的に活用することです。

医者の本気を引き出す、具体的な方法をお教えします!!

2016年7月21日 8:43  カテゴリー:書籍紹介

書籍紹介 「笑う免疫学」 藤田紘一郎 著

笑う免疫学
藤田紘一郎 著 ISBN978-4-480-68951-1

私たちの体内で免疫力をつかさどっているのは、血液中に含まれる白血球です。この白血球は大まかに分けると、リンパ球、マクロファージ、顆粒球の3種類で、これらが免疫担当細胞と呼ばれています。リンパ球にはB細胞と、T細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞の3種類があり、骨髄由来のリンパ球をB細胞、胸腺由来のリンパ球をT細胞とよびます。そして、B細胞は抗体産生、T細胞は抗体産生の調整などを主な働きとしています。

そして、T細胞には、がん細胞やウィルスに感染した細胞を攻撃するキラーT細胞、免疫反応を助けるヘルパーT細胞があります。ヘルパーT細胞はTh-1とTh-2という2つのグループに分かれます。Th-1は細胞を使って免疫反応を誘導する細胞免疫を担当します。感染症などとウィルスの侵入があったときなどにインターフェロンなどの物質を放出し、ウィルスを攻撃します。しかし、もっとも重要な働きは、毎日3,000個~5,000個ほど人体に出現しているがん細胞をNK細胞と共同で破壊する働きです。つまり、Th-1は私たちの体を「動的」に維持するため、絶えず「出来そこないの細胞」を監視し、殺しています。

一方、Th-2は、血液中の抗体というタンパク質を使って、体液性の免疫反応を誘導します。感染症では細菌などの侵入があったときに力を発揮します。しかし、Th-2の作用のなかで、最も興味深いのは、花粉症やぜんそく、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の発生に関与していることです。このTh-1とTh-2は健康な状態では、ちょうどシーソーのようにうまくバランスをとっていますが片方だけが優位に活性化すると、シーソーが傾き、アレルギー性疾患や自己免疫疾患が生じます。

「カイチュウ博士」の真骨頂!「諸刃の剣」ともいわれる複雑な免疫の世界を一から楽しく学ぼう!

2016年7月7日 8:59  カテゴリー:書籍紹介

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