書籍紹介「医者が自分の家族だけにすすめること」 北條元治 著
医者が自分の家族だけにすすめること
北條元治 著 ISBN978-4-396-11458-9
医師のすすめる治療法をそのまま信じるのではなく、自分の病状、症状、年齢、家庭環境などに照らし合わせ「医師に手術をすすめられたけど、本当にそれでいいのだろうか」と、時には疑うことも必要です。
これは病院選びも同様です。どんなに評判の良い病院でも、内部から見れば「家族の治療は任せられない」診療科目もあります。
本書は、もし著者や家族が病気になったらどのような治療を選択するか、どのように家族を救うか、医師に人生を決められるより自分で決めたい、病院は生きるためのひとつの道具である、という視点で書き進められています。医師である著者が、リアルな本音を綴っています。
全部で50項目ありますが、2項目を取り上げてみましょう。
(1)家族が、肩こり、腰痛になったら
単なる肩こりや腰痛と思っていた患者さんが、実は命にかかわる重篤な病気(慢性膵炎や肺がんなど)を持っているケースも現実に存在しますが、通常は、肩こりや腰痛の症状が固定化しており、悪化もしなければ、それほど心配な症状ではありません。しかし、日々悪化したり、日々症状が変動したりするなどであれば、他科を受診したり、正直に担当医にそのことを報告したりすべきです。
(2)家族が手術することになったら
手術を受ける時に、絶対に欠かせないのが麻酔です。麻酔は、局所麻酔と全身麻酔に大別されますが、家族が腹部の手術を局所麻酔で受けるとしたら、必ず硬膜外麻酔を選択します。硬膜外麻酔は通常の麻酔より時間がかかりますが、手術後の痛みを完全にコントロールできます。
以上のように、本書では最新に医学情報が入った、コンパクトな家庭用医学書ですので、一家に一冊、常備をおすすめします。
2016年6月16日 8:44 カテゴリー:書籍紹介
書籍紹介「発達障害の素顔 」 山口真美 著
発達障害の素顔
山口真美 著 ISBN978-4-06-257954-4
コミュニケーションが苦手、人や顔や目を見て話ができない。読み書きが苦手などは誰にだってある、ちょっとした性格のひとつ。
実は、脳が発達する過程で、うまく視覚が形成されなっかたりすると、その他の感覚器の形成に影響が現れます。人より視覚や聴力が極端によすぎるために同じものを見たり聞いたりしても、まったく違う世界として受け止めているのかもしれない。それが発達障害の素顔なのです。
本書では、これまで社会性の障害といわれてきた発達障害の原因を、近年の脳科学と認知科学からわかった成果を基に説明しています。現代社会の中では、発達障害は特殊な問題ではない。中でも自閉症においては、同じ傾向をもつ人々はすそ野を広げ、社会の中でひとつの個性となりつつある。学校や会社で、少々変わった人はいないだろうか。じつは私たちのごくごく身近に、こうした素因をもつ人々は存在しています。
効率を求め、平均的なマニュアルで教育することに慣れ切った人たちには、発達障害の人と接するのはやっかいだろうが、しかし、人を育てるということは、本来そういうことだ。
小児医療の進展に伴い、発達障害と診断されるケースは増加傾向にある。こうした状況の中で人々は、さまざまな個性を受け入れていかねばならない。そのためにも発達障害の認知の特殊性を理解する必要があるのだ。
著者の研究室では、赤ちゃんを被験者にして、形や色、動き、そして顔を見ることなど、視覚に関する機能を調べる「赤ちゃん実験」を行っています。
発達障害ー自閉症、ADHD、ディスレクシア、ウィリアムズ症候群などを感性の特性としてとらえることで、新しい治療と対応の可能性が見えてくる。
かれらには、この世界がどう映っているのか?
2016年6月2日 8:42 カテゴリー:書籍紹介