書籍紹介「効く健康法 効かない健康法 」岡田正彦 著
効く健康法 効かない健康法
岡田正彦 著 ISBN978-4-7993-1760-0
本書には以下の3つの特徴があります。
第1は、これまで著者が読んできた膨大な医学論文の中から、信頼のおける情報を選りすぐって紹介していること。
第2は、健康法とは一人ひとりの体質で異なるもの、という視点で情報を整理していること。どのような検査値、どにような病気にもいえることですが、そこには体質が大きく関係しており、かつその体質には個人差があります。
第3は、同じ健康法でも昔と今では意味が異なるという視点を重視していること。ひと言でいえば昔は「栄養不足」が主な関心事でしたが、現代では「食べ過ぎ」が重要なテーマになっていることです。
以上の特徴を踏まえて、全部で45項目ありますが、その中の3項目を具体的に見てみます。
(1)たんぱく質は、動物性より植物性を摂るのがよい?
たんぱく質自体は動物由来も植物由来も同じ。食肉が問題となるのは脂質が多いから。植物から摂るのが良いが、動物なら肉料理より、体によい脂肪酸を多く含む魚のほうが健康的。
(2)ぎっくり腰のときには体を動かしてはいけない?
ぎっくり腰のとは、正しくは椎間板ヘルニアのこと。本当の椎間板ヘルニア(現実には少ない)では、救急車を呼ぶほどの痛みとなる。単なる腰痛ならば、体を動かしているほうが早く治る。
(3)果物は太りやすいので控えたほうがいい?
果物に含まれる果糖は、ぶどう糖に変換されないので太ることはない。同じ果物でも缶詰やドライフルーツは砂糖が加えられているので食べ過ぎに注意。
予防医療・長寿科学の第一人者が話題の健康法を科学的根拠から判定!!
2016年5月26日 8:46 カテゴリー:書籍紹介
書籍紹介 「肺が危ない」 生島壮一郎 著
肺が危ない
生島壮一郎 著 ISBN978-4-08-720545-9
当たり前のはずの「息をする」ことが、なんらかの原因でうまくできなくなり、苦痛を伴うようになる病気があります。それが肺炎や気管支炎、肺がん、そして世界的に問題になっているCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器の病気です。呼吸器の病気を専門的に診療するのが呼吸器科の著者の仕事です。
日々、肺や気管支の病気でやってくる患者さんを診療していると、症状に苦しんでいる場合でも、本人が肺や呼吸のメカニズムに無関心であることに驚きます。そして、そのことが呼吸器を取り返しのつかない段階まで悪化させているように思います。
まず、肺の構造に関する誤解です。肺というのはゴム風船のような、単なる袋状の構造だと誤解している人も多いようです。
思い切り息を吸い込むと胸が膨らみ、吐き出すとへこむので肺そのものが膨らんだりしぼんだりしながら空気を出し入れしていると思われているようですが、そうではありません。肺はスポンジのような形態をしています。肺胞という空気を入れた小さな袋の集まりと、そこに空気を届けるための気管支、血液を循環させるための無数の血管とによって密集した木の枝のような構造になっています。
肺胞には、細かい毛細血管が張り巡らされて、その毛細血管で、取り込んだ空気のなかの酸素を血液に溶かしこみ、不要になった二酸化炭素を血液から肺胞内の空気に戻す「ガス交換」が行われています。喫煙が主な原因であるCOPDの患者さんは、最初は密かに進行する病魔に気づかず、肺がんなどの合併症によって初めて気がついた時にはすでに手遅れとなっていることも多く、スカスカになった肺の組織は、薬などの治療で元の健康な状態に戻すことはできません。そして、呼吸困難に苦しみ、喫煙を後悔しても、その後悔の思いを言葉で伝える機会もないまま最後を迎えまます。
今ある生命の闘いを意識して、タバコをやめる!!
2016年5月12日 8:57 カテゴリー:書籍紹介