書籍紹介「糖尿病で死ぬ人、生きる人」 牧田善二 著
糖尿病で死ぬ人、生きる人
牧田善二 著 ISBN978-4-16-660975-8
糖尿病には、人工透析、失明、壊疽など耳をふさぎたくなるような3大合併症の恐ろしいイメージがあります。でも安心して下さい。糖尿病のこれら合併症は医学の進歩のおかげで、多くはすっかり治るようになりました。
この病気で一番恐ろしいのは「人工透析」の状態になってしまうことです。なぜかというと、透析は一度始めると、一日おきに3~5時間の治療を死ぬまで受けなければならないからです。
しかし、医療のすばらし進歩のおかげで、この透析という悲劇はもうなくなってしまうかもしれません。5年ほど前に腎症の合併症を治す特効薬が見つかりました。しかし、腎臓合併症治療はまだ、始まったばかりです。また、新薬ではなく古くて忘れ去られていた薬が実は腎臓合併症を劇的に改善することも分かってきました。一方で、特効薬と同じような薬が、むしろ腎臓を悪くするという、ちょっと怖い事実も報告されています。
今まで糖尿病治療は「腎臓合併症は治せないから、絶対合併症を起こしたらだめだ。起こしたら、将来必ず透析になる。そうならないためにHbA1cを絶対に低く抑えなければならない」と脅かされるように言われ、これを下げることこそが、この病気の治療でした。しかし、今や特効薬ができたので、以前ほどHbA1cを気にしなくてもよく患者には朗報のはずです。
本書では、合併症が治るというミラクルな話を読者にできるだけわかりやすく、かつ具体的な治療例をあげて説明しています。
なお、糖尿病は前記3大合併症以外に、がん、心筋梗塞、脳卒中、肺炎そしてアルツハイマー病になることがわかっています。但し、これらの疾患も早期発見・早期治療をすれば糖尿病でも100歳まで生きられると著者は力説しています。
糖尿病でも100歳まで生きられる最新医療について学ぶ!!
2014年7月31日 8:44 カテゴリー:書籍紹介
書籍紹介「終活なんておやめなさい」 ひろさちや 著
終活なんておやめなさい
ひろさちや 著 ISBN978-4-413-21016-4
著者は仏教を学んでいる人間です。それ故、いつも釈迦の教えを基本にものを考えます。釈迦は「死」について、どう教えておられるでしょうか?じつは、釈迦の教えの根本は意外に思われるでしょうが、
---死後についていっさい考えるな!--- であります。
自分が死んだあと、この「私」といった存在はどうなるのだろうか…と、いくら考えてもわかりません。わからないことをあれこれ考えるだけ無駄です。だから釈迦は、考えてわからないことを考えるな!と教えられたのです。
でも、仏教では地獄や極楽といった死後の世界を言っています。しかし、それは便宜的な方便の教えです。本当は、仏教においては、われわれは、死後の世界について一切考えない訓練(修行)を積むべきです。
しかし、われわれ凡人はどうしても、自分の死んだ後のことを考えてしまいます。そんな凡人に対して仏教は、
---なにも心配することはない。あなたの人生をしっかり生きていれば、死後のことは仏がいっさい面倒をみてくださるよ--- と教えてくれているのです。そのために、極楽や浄土の教えが説かれているのです。
いま、世間では「終活」という名の死の準備がすすめられています。それは、死後の心配ばかりしているのです。死後のことばかり考えて、いま現在をないがしろにしています。馬鹿らしいと思いませんか。
遺産相続を考える暇があれば、妻や子どもたちと一緒に旅行をし、楽しい食事会をした方がよい。子どもたちに語っておきたい事があるのであれば、いま語ればよいのです。死んだ後で「ありがとう」と言うより、いま「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えればよいのです。あなたは、死んだ後の事を考えず。いま楽しい人生を生き、家族と一緒に楽しい時間を送って下さい。
それが本当の「終活」なのですよ。
2014年7月24日 9:06 カテゴリー:書籍紹介
書籍紹介「命の時間を抱いて」 石川恭三 著
命の時間を抱いて
石川恭三 著 ISBN978-4-309-02288-8
医者は普通の人が一生見ないですむような、悲しく、辛い、そして、残酷ともいえる場面にしばしば立ち会わなくてはならない。著者は大学病院に勤務する医者だったので、重篤な患者さんを診察することが多かった。その上、専門が循環器病であり、主宰していた内科学教室の担当領域に血液病学が入っていたので病床の多くは常に重篤な患者さんで埋まっていた。
退院を目前にして喜びがころころと小さな音を立てながら全身から転げ出ているような人の診察が終わったすぐあとで、臨終が間近に迫っている人の重苦しい空気が充満している部屋に入らなくてはならないこともままあった。それは暖かい部屋から冷凍庫へ入るようなもので、精神的な大きな温度差が心的トラウマとなって心の皺を深めたのは確かだった。そんなとき、気持ちを静めるために周囲に気づかせないように何度も深呼吸をしなくてはならなかった。これまでを振り返ってみると、医者であることに喜びや幸せを感じた量は、悲しみや辛さを感じた量よりはるかに多いと思っているし、医者になったことを後悔していない。
患者さんとの出会いを通して、その人の人生の流れの一部をごく間近に見てきた。そこに、人間の様々な情感が凝縮され渦巻いているのを肌身に感じて、共感したり、感動したり、たじろいだりして、心は大きく振動するのが常だった。そして、その時々に、それぞれの患者さんから“どう生きるか”という切実なメッセージを受け取ったのである。本書は、著者の心に今なお鮮明な記憶として温存されている患者さんの“生きる容”を物語ったものである。
医者人生50年 患者とともに、生の喜びと死の哀しみを見つめ続けてきた命の時間。人間として、どう生きるか。屈指の名医、感動の書き下ろし!
2014年7月17日 9:04 カテゴリー:書籍紹介