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2013年5月30日 13:12  カテゴリー:お知らせ

書籍紹介 「産科が危ない」-医療崩壊の現場から- 吉村泰典 著

産科が危ない -医療崩壊の現場から-
吉村泰典 著 ISBN978-4-04-110454-5

毎年、8,000人の医師国家試験合格者が誕生する。その一方で、一般企業ならば定年退職を迎える60歳を過ぎても、現場で医療に携わる医師が増えてきているので、日本の医師数は右肩上がりになっていることがわかる。この様に、医師が増加しているにも関わらず、産婦人科医は年を追うごとに減り続けているという不思議な現象が起きている。

その主たる原因はか過重労働と医療訴訟の多さにある。以前よりも改善されたとは言っても、現在でも月の勤務時間は平均200時間近くに及び、特に大学病院や国立病院では、月平均211時間に達している。また、当直はどの診療科よりも多く、内科や外科の2倍近い約6日に及んでいる。これらの数字は、日本産科婦人科学会への新入会員数が400~500人(2004~2005年は200人以下)に増えた最近の数字である。この様な過酷な勤務実態であれば、現役の産婦人科医は休めず、さらに若い医師たちはとても産婦人科を選ぼうとは思わないだろう。

もう1つ産婦人科医を避ける原因が訴訟の多さで、2007年の最高裁判所の資料によると産婦人科の民事訴訟の件数は、医師1,000人あたり16.8件である。これは、リスクが高いと思われている外科の約3倍、内科や小児科の6倍から8倍もの高さである。日本の周産期医療が素晴らしすぎるために「赤ちゃんは無事に産まれるのが当たり前」という出産に対する安全神話ができてしまっているのである。だから、妊婦が死亡したり死産だったりすると、なにか医療過誤があったのではないかと考えられ、その事が民事訴訟の多さにつながっている。

さらに、産婦人科医が不足する別の原因があり、35歳以下の産婦人科医では女性の割合が60%に達し、男性医師に比べて、女性医師の離職率の高さです。

この様な現状を改善するために、著者(日本産科婦人科学会前理事長)は、学会への新入会員の獲得と同時に、産婦人科医が働きやすい環境整備を喫緊の課題として具体的な制度設計の提案とその実践を強調されています。

2013年5月23日 9:21  カテゴリー:書籍紹介

書籍紹介 「味覚力」を鍛えれば病気にならない 鈴木隆一 著

「味覚力」を鍛えれば病気にならない
鈴木隆一 著 ISBN978-4-06-272793-8

味覚を含めた「五感」の中でも、視力や聴力に関しては、検査が行われ、自身の視力・聴力がどれくらいのレベルか、ほとんどの方はご存じだと思う。そして、視力が衰えれば、眼鏡やコンタクトを用い、聴力が衰えれば補聴器を使う。

一方、味覚に関してはどうだろうか、自分の味覚を感じ取る力(以下味覚力)など、気にしたこともないという方が多いのではないだろうか。味覚力が悪くても好きな食べ物が変わるくらいで、影響力はないと考えてはいないか。実は味覚は病気と密接に関係しているのだ。例えば、糖尿病になりそうな人は甘味を感じにくく、高血圧になりそうな人は塩味を感じにくいことが分かっている。太っている人と痩せている人を比較すると、太っている人のほうが甘味の感受性が低いことが多い。つまり、甘味や塩味を鋭く感じる力があれば、糖尿病や高血圧を防ぐことができ、太ることも防げる可能性が高まるのだ。

本書では「味覚は変えられる、味覚力も鍛えられる」と断言している。味覚が変わり、味覚力を鍛えれば、好きな食べ物なども変わる。薄味の料理に慣れれば、十分そのおいしさを感じることができるようになる。味をきちんと感じることができる味覚力があれば、糖分や塩分を適切な量にコントロールできるし、薄味の健康的な料理で美味しさを感じて、満足することができる。将来的に摂るはずであった大量の調味料を体に入れないことであなたの体は劇的に負担が軽くなり、健康へのベクトルを伸ばすだろう。では、味覚力を鍛えるにはどうすればよいか。簡単なことだ。薄味を「おいしい」と脳が感じるようにコントロールすればよいのだ。

通称「味博士」の著者が日本総「味覚オンチ」の恐怖について理解を深めることを読者に期待しています。

2013年5月16日 9:37  カテゴリー:書籍紹介

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