書籍紹介 日本人なら知っておきたい「異所性脂肪」の恐怖
書籍紹介 日本人なら知っておきたい「異所性脂肪」の恐怖
小川佳宏 著 ISBN978-4-8470-6528-6
「異所性脂肪」という言葉を耳にしたことがありますか?
皮下脂肪でも、内臓脂肪でもなく、肝臓を形成する肝細胞、骨格筋の筋細胞、すい臓のインスリンを産出するベータ細胞など本来たまらないはずの組織や臓器にたまる第3の脂肪、それが「異所性脂肪」です。
皮下脂肪も内臓脂肪も脂肪細胞の中にたまっているにもかかわらず、さらにカロリーオーバーな状態が続くと、脂肪細胞内におさまりきらなくなり行き場をなくした脂肪が「異所性脂肪」の正体で、臓器をつくっている細胞(実質細胞)の中にたまります。
ほとんどお酒を飲まないのに、肝臓に関する数値が異常を示していた場合、アルコール以外の原因で考えられるのは、内臓脂肪や異所性脂肪が原因である可能性が高くなります。肝臓に異所性脂肪がたまってしまった状態が「脂肪肝」や「NASH」です。
肝臓は脂肪をつくったり、代謝をしたりする場所なので、他の臓器に比べて異所性脂肪がたまりやすい臓器です。すい臓のベータ細胞に脂肪がたまるとインスリンの分泌が悪くなり糖尿病の要因となります。また、筋肉は本来、糖を取り込んで血糖を下げますが、筋肉に脂肪がたまると、やはりインスリン作用が悪くなります。
しかし、異所性脂肪は比較的減らしやすい脂肪なので生活習慣を見直せば必ず改善されます。では、異所性脂肪を確実に減らすためには具体的にどんなことをすればよいのでしょうか?その答えは以下の2点に集約されます。
(1)バランスのとれた食生活
(2)定期的、適度な運動
著者は専門家として必要以上に読者を不安にするのではなく「異所性脂肪」の正体やその蓄積のメカニズム、異所性脂肪が引き起こす病気の恐ろしさを理解していただき、生活を見直し、重大な病気を未然に防ぐことを切に願っています。
2013年3月7日 8:57 カテゴリー:書籍紹介