書籍紹介 「生命のバカ力」 村上和雄 著
生命のバカ力
ISBN 4-06-272203-08
村上和雄
生命科学の現場に40年近くいる著者は、万巻の書物に匹敵する膨大な遺伝情報を、極微の空間に書き込み、しかも、それを正確に一刻の休みもなく働かしている主体は人間の理性や知性をはるかに超える「サムシング・グレート」の働きとしか表現できないと考える。そして、このサムシング・グレートと感性は深いところで繋がり、大切なヒントを密かに囁き、これをキャッチするとき、人間は想像を超える仕事ができ、生命がバカ力を発揮すると主張する。
2003年4月、ヒトゲノムの解読完了宣言がなされ、遺伝子の働きについての本格的研究はこれからはじまろうとしていますが、その中で著者が最も注目しているのは、遺伝子のONとOFFの仕組みです。
私たちの遺伝子情報はほとんど眠っています。そうすると、眠っているよい遺伝子をONにして、起きている悪い遺伝子をOFFにすることができれば私たちの可能性は飛躍的に発展します。このことを著者は創造豊かな主観的世界、みずみずしい感性や直感、更には霊感としか表現できない世界つまり「ナイト・サイエンス」(夜の科学)を交えながら、一般の人に語りかけています。
例えば、糖尿病の人の食後血糖値の上昇が「笑い」の力によって抑制できるという、世界初のデータと、それが生まれる経過についても語っています。また、人の可能性は様々で、一つの分野でうまくいかなくても、別の道で花開く可能性が大である、つまり能力をもっと「ON」にしようと読者に働きかけています。
2012年6月7日 11:13 カテゴリー:書籍紹介