書籍紹介「すばらしい医学」山本健人 著
「すばらしい医学」
山本健人 著 ISBN978-4-478-11801-6
医学を学び、自らの体について知ることは、途方もなく楽しい営みだ。
著者が医学生の頃から約20年間、絶えず味わってきた知的好奇心を満たす喜びを、多くの人に伝えたいという思いで本書が執筆されました。
第1章 あなたの体のひみつ
人体が「いかによくできた構造物であるか」「なぜこれほど優れた機能を持っているか」について、頭からつま先まで順に解説
第2章 画期的な薬、精巧な人体
抗生物質やスタチン、ステロイド製剤など、医学史を変えた薬について紹介する。薬のしくみを知ることは、すなわち、人体の機能を知ることと同義。
第3章 驚くべき外科医たち
手術の歴史に革命を起こした外科医たちの功績を紹介。世界で初めて消毒を発明したジョセフ・リスターや、外科医として初めてノーベル賞を受賞したエミール・テオドール・コッヘルなど、現代の手術の基礎をつくった外科医たちの生き様を、現代の外科医の目線で解説。
第4章 すごい手術
電気メスから内視鏡、手術支援ロボットまで、手術の進歩について紹介。テクノロジーの進歩が外科学に引き起こした驚くべき変革に心躍るような知的興奮を感じる。
第5章 人体を脅かすもの
放射線や一酸化炭素、致死的なウイルスなど、人体に危機を及ぼす脅威について解説。意外にも私たちの体は脆く、周囲の環境は危険に満ちあふれている。こうした事実を知ることで、必然的に医学が果たす役割について思いを巡らせる。
本書で語る1つ1つのエピソードは、誰もが知る身近な話題から始まるが、奥に続く知識の海は深く広大だ。本書を読めば、「医学」という学問を、まるで高台から俯瞰するような心地良さを味わえるだろう。
私たちは、自分の体のことをほとんど知らない!!
2024年6月20日 9:04 カテゴリー:書籍紹介
書籍紹介「在宅医が伝えたい「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと」中村明澄 著
「在宅医が伝えたい 「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと」
中村明澄 著 ISBN978-4-06-533264-1
在宅医になって11年。これまで1000人を超える患者さんを看取り、「できるだけお家で過ごしたい」という患者さんの希望が叶えられるよう努めてきました。
「生き方も逝き方も自分らしくあってほしい」と願うものの、人生の最終段階について考えることは普段の生活のなかではなかなかないと思います。
そこで、著者が日々の診察を通じ患者さんやご家族から教わった人生の最終段階の豊かな過ごし方や幸せな最期の迎え方についてお伝えすることで、みなさんがこれからの人生を考える上で役立ててほしいという思いで本書が出版されました。
幸せな最期を迎えるための3つの条件
(1)過ごす場所、(2)やってもらいたいこと(医療や介護)、(3)やりたいこと(夢)
まず(1)の最後を過ごす場所には、自宅、施設、病院という選択肢があります。メリット、デメリットがそれぞれありますが、まず過ごす場所に選択肢があり、それ選択できる可能性があることを知っていることがとても大切です。なぜなら、「本当は家で過ごしたい」と願いながら入院している人が、「望めば家に帰ることができる」という選択肢を知らないままに、病院で亡くなるからです。
(2)の受けたい医療や介護も同様で、例えば胃瘻などの延命治療は、一度開始すると途中でやめることが簡単にはできません。ですから「とりあえず」と安易に開始することは避け、正しい情報をもとに、きちんと考えて納得のいく選択をすることが大切です。受けたい医療や介護により、過ごしたい場所も変わります。
(3)のやりたいことについては、「やる時期」が大切です。病気によっては、たとえ余命1カ月であっても、一見元気に、少し調子が優れない程度に見える場合があります。すると、「もう少し体調が良くなってからしよう」とやりたいことを先送りすることがあります。ですが実際は、その後に病状が進んで動けなくなるため、結果的にやりたいことができず、望みを叶えられるチャンスを逃してしまうことがあります。
幸せな時間を過ごす第1歩は"知ること"から始まる!!
2024年6月6日 9:08 カテゴリー:書籍紹介
書籍紹介「眼科医が警告する視力を失わないために今すぐやめるべき39のこと」平松類 著
「眼科医が警告する視力を失わないために今すぐやめるべき39のこと」
平松類 著 ISBN978-4-8156-2184-1
世間の常識は眼科専門医の非常識―こういっても過言ではないほど、誤った目の健康法・健康情報がはびこっています。もちろん一般の方々に、医師と同等の知識を求めるつもりはありません。最低限「正しい基礎知識」を身に付けることで、医師との共通言語を獲得し、コミュニケーションをとれるようにしましょう。
1.「目の健康常識」は眼科専門医の非常識
(1)現時点で、「視力回復が期待できる」食べものは発見されていません。
(2)近視の進行予防には、「緑を見る」ではなく、ディスプレイを見る作業中は1時間ごとに2メートル以上遠くを20秒間見る習慣をつける。
(3)視力低下に関係があるのは「照度」ではなく「距離」です。
(4)近視も老眼もメガネを使うとより度数が進むというのは誤解です。
(5)老眼はピント調節機能の低下なので20代から進行し、「スマホ老眼」が若い世代でも増えている(一般的には40代以降)。
(6)ブルーライトメガネはブルーライトを30~50%カットしているだけなので、唯一の効能は「睡眠の質の改善」です。なお、成長期の子どもにはすすめられません。
2.その習慣、目にとっては「拷問」です。
(1)今日では、感染症による失明リスクは限りなく低いので、習慣的に目を洗い、涙を流すことは目によくありません(涙の成分が眼球を薄く覆い、守っている)。
(2)点眼直後は目を閉じ、目薬が眼球全体に行き渡るように、目頭を軽く押さえること。時間は目が乾いている「朝イチ」がベスト(点眼直後にまばたきはしない)。
(3)感染症防止のためには、1ヶ月を目途に古い目薬は買い替えること。さらに重要なのは、最低でも眼球から1センチほど離して点眼すること。
(4)ドライアイ解消の最善策は「涙の質」を上げることなので、目の周りを温めたり、DHAやEPAを含む魚を摂取すること。
(5)コンタクトレンズの手入れは「レンズをしっかり洗浄する」だけでなく、「レンズのケースを常に清潔に保つ」こと。
(6)紫外線を吸収するのはサングラスの「色」ではなく「加工」なので、2年を目途にレンズをチェックすること。
(7)色の濃いサングラスは、目の瞳孔が開くので、3年以上も使っていると、サングラスなしより激しいダメージを眼球が受ける。
(8)「水の一気飲み」「過度な運動」「ストレス」「心臓より眼球が下になる姿勢」は眼圧を上げる。
(9)失明原因のトップ5である「緑内障」「糖尿病性網膜症」「網膜色素変性症」「加齢黄斑変性」「網脈絡膜萎縮」は、実はかなり進行するまで1.0ぐらい見えていることは珍しくない。
(10)トップ5の疾患の診断には「視力検査」「眼圧検査」だけでなく、眼底カメラで、眼底の血管、網膜、視神経などをチェックする「眼底検査」は欠かせません。
3.放っておくと危険な目のサイン
(1)通常、視力の変化は少しずつ起こりますので、急激な視力低下があれば眼科へ行くこと。
(2)急に片目が見えなくなったら、永久に光を失う「網膜動脈閉塞症」の可能性があるので、できるだけ早く緊急外来に駆け込むこと(タイムリミットは6~8時間)。
(3)片目だけ視野が欠けるようなら眼科(緑内障)、両目同時なら脳外科(脳梗塞・脳出血)へ行くこと。
(4)「眼底疲労」は不調が多部位(頭痛、肩こり、全身の倦怠感)にわたり、かつ慢性化しやすいので、解消にはある程度の時間が必要です。
(5)「眼底疲労」の原因は目の酷使だけでなく、メガネが合っていない、遠視が強い、ドライアイ、老眼などが考えられます。
(6)ものが二重に見えるのが、片目だけなら「白内障」「乱視」、両目なら「脳動脈瘤」の可能性が高い。
(7)片目のまぶたが短時間で下がると「脳動脈瘤」の可能性ある(両目ならば老化なので問題なし)。
(8)「見たいところがよく見えない」「ゆがんで見える」場合は、ものの形や色を捉える中心窩に支障が生じる黄斑変性の可能性が高い。
4.知らないと危ない「眼科選び」
(1)通常の眼科検診ならば、「行きやすい場所にある、自分との相性が悪くない眼科専門医」で十分です(検査機器が進化しているので医師の腕の差は少ない)。
(2)手術が必要ならば、一番参考になるのは地元の口コミ。地元で評判の医師は腕がいいと考えられる。
(3)白内障の手術でのレンズ選びは「眼科専門医にお任せ」ではなく、自分の希望を優先すること。
(4)緑内障の手術は「将来的な失明を予防する」ためなので、術後の視力が術前よりも下がることがある。
失明につながる悪習慣は日常に潜んでいる!
習慣を変えれば一生見える目は手に入る!!
2024年5月16日 9:02 カテゴリー:書籍紹介